数字で見る女性活躍と両立支援
大和証券の女性活躍推進、仕事と家庭の両立支援の状況などを数字でまとめています。採用、従業員、働き方、キャリア、賃金の内容を、金融業、保険業の平均とともに、それぞれ数字で見てみましょう。
関連トピックス
- 求職者向けトピックス
金融業、保険業には、金融業又は保険業を営む事業が分類されます。専ら金融又は保険の事業を営む協同組合、農業又は漁業に係る共済事業を…
採用
採用者の性別割合
男性
61.8%
女性
38.2%
正社員
まずは業種平均から、採用者の女性割合の傾向を確認したうえで、現在の従業員の男女比も合わせて見てみましょう。上場企業における採用者の女性割合は、全体平均に比べてやや低い傾向にありそうです。
採用での競争倍率
男性
15.7倍
女性
8.1倍
正社員
採用での競争倍率は、人手不足の業種ほど倍率が低くなる傾向にありそうです。一方で、上場企業では全体平均よりも格段に競争が厳しく、また、女性の競争倍率が男性よりも高くなっているようです。
中途採用実績
男性
60人
女性
11人
「金融業、保険業」の業種における中途採用実績は、全体平均と比較して女性の採用の割合が多い傾向にあります。上場企業における中途採用実績は、女性の採用が男性の半分以下となっています。
従業員
従業員数
8400人
同業種の中でどの程度の会社規模か確認し、業績等も可能な限り調べておきましょう。
従業員の男女比
男性
55.2%
女性
44.8%
正社員
上場企業の女性割合が低い傾向にありそうです。ただし、全体的に従業員の男女比よりも高い割合で、女性を採用しているともいえそうです。
平均勤続年数
男性
14.9年
女性
13.0年
正社員
終身雇用の考えはほぼなくなってきていますが、勤続年数の平均から、中長期的なキャリア設計を測る指標として10年定着できる企業かという基準でみてもよさそうです。
働き方
有給休暇取得率
75.4%
正社員
取得率と合わせて、半日単位・時間単位などでの取得や、休暇の申請方法などの実態的な内容も確認しておきましょう。
育児休業取得率
男性
97.0%
女性
99.0%
正社員
「金融業、保険業」の業種平均の育児休業取得率(男性)は、全体平均よりも高くなっています。取得率と合わせて、育児休業から復帰後に、短時間勤務や在宅勤務、フレックスタイムなど柔軟な働き方ができるかも確認しておきましょう。
平均残業時間
6.1時間/月
対象正社員
数字と合わせて、長時間労働是正のための取り組みや残業の申請方法などの実態的な内容も確認しておきましょう。
キャリア
女性の係長級比率
60.0%
2351人/3919人
管理職・役員への女性登用のパイプライン構築のためには、内部人材の採用・育成の強化が必要不可欠です。外部からの採用だけでなく、既存社員へのリーダー育成に対する取り組みも確認するようにしましょう。
女性の管理職比率
22.4%
710人/3172人
「管理職」の定義は法律でもやや曖昧で、企業によって定義が異なります。数字を参考にしつつも、フェアな賃金体制、機会の提供、業務の裁量権などの実態を確認するようにしましょう。
女性の役員比率
13.7%
10人/73人
政府は、プライム市場への上場企業を対象に「2030年までに女性役員の比率を30%以上に」等の数値目標を盛り込み、企業の女性登用を促しています。
賃金
男女の賃金差異(全体)
63.6%
男女の賃金差異は、女性の能力や意欲を十分に発揮できないことにつながるため、女性の自立や社会参加を阻害するだけでなく、経済成長や人口減少の対策にも悪影響を及ぼすと考えられます。
男女の賃金差異(正社員)
63.1%
日本では女性が子育てや介護を担うことが多く、キャリアの中断や時短勤務が賃金格差の要因にもなっています。柔軟な働き方に関する制度とともに、運用面の実態を把握することが重要となります。
男女の賃金差異(非正規社員)
62.3%
一般的に、女性が男性よりも非正規雇用で働く割合が高いことが、賃金格差の原因の一つとされています。また、日本では女性が子育てや介護を担うことが多く、時短勤務が賃金格差の要因となっています。
女性活躍と両立支援の取り組み
女性活躍に関する社内制度の概要
持続的な企業価値向上に向けてダイバーシティ&インクルージョン(以後D&I)を実現するためには、多様性のある人がいるだけでなく、意思決定に参画する必要があります。意思決定に影響を及ぼすためには、クリティカル・マス(決定的多数)が必要であるとの考えに基づき、女性取締役比率30%以上を目標として設定しています。さらに、女性活躍推進のためには、「育児は女性がするもの」という固定的な性別役割分担意識を解消し、性別を問わず仕事と家庭を両立できる社会を実現するとともに、男性社員が家族と向き合う時間を創出することで、多様な価値観が共存・融合する環境を醸成し、個々人そして組織のパフォーマンスの最大化を図ることが重要であると考え、男性の育児休職取得に関する目標を設定しました。育児休職を取得する風土は醸成されてきたため、さらに本格的な育児参画を促すべく、取得日数についても目標を設定することで、より実効性のある育児休職の取得、育児への参画を促進しています。
2005年に女性活躍推進チームを発足して以降、継続的に取組みを実施しており、女性管理職比率は2005年度末の2.8%から、2022年度末には19.9%にまで上昇しています。
この過程において、まずは採用における女性比率を約半数にするとともに、ライフイベントを経ても仕事を続けられるよう、様々な環境整備を行いました。同時に、キャリア支援にも取組んでいます。2014年度より実施している女性向けキャリア研修では、管理職と非管理職を対象にした二つの研修の参加者間で部門を越えたナナメのつながりをつくるメンター制度を導入。参加者から社長をはじめとする経営向けに「女性活躍推進に関する提言」を実施しています。また、全ての社員が部門・世代を超えてロールモデルと出会う機会を得られるよう、社内SNS「ANSWERS」を設置しています。マネージャー候補者の発掘、育成、登用に向け、半期に一度の自己申告制度にて、部室店長は自身の後任候補として男女1名以上ずつ挙げるようにしている他、全社員に優れた上席者だと思う社員をヒアリングすることで、実績だけでは表れづらい優れたマネージャーを発掘し、ポスト登用の参考としています。また、「30%Club Japan」活動に賛同しており、取締役会長と代表執行役社長がメンバーとして参画しています。
取締役、管理職における女性比率向上に向け、女性社員はキャリアアップへの意欲が低い傾向にあることや候補者が限定的であることが課題となっています。課題解決に向け、画一的なマネジメント像を払拭すべく、女性キャリア研修のコンテンツを拡充すると同時に、様々な考え方やキャリアに触れることを目的として、2022年度からは社外の社員との交流機会も設けています。また、現場レベルの取組みに対する本気度は経営トップと乖離があるため、D&Iに関するマネジメント研修や、女性キャリア研修実施前に人事担当役員から上席者に対して意義を説明するなど、女性がキャリアを描きやすい風土の醸成に取り組んでいます。また、経験者採用により、将来のマネジメント候補や、即時マネジメント職に就く人材も積極的に獲得しています。さらに、性別役割分担意識も課題として残っており、男性の育児参画へ取り組んでいます。男性の育児休職取得率は2013年度2%から、2017年度以降100%以上へと飛躍的に改善した一方、取得日数は短く、十分な育児参画が行われていない点が課題として残っています。そのため、子が生まれる前から意識を醸成すべく、妊婦健診の付き添い等のための「妊婦エスコート休暇」を導入。さらに、2022年度からは、2週間以上の育児休職取得を必須とすると同時に、育児休職へのハードルを下げるために給与4週間、賞与2週間を処遇保障しています。
これらの取組みを常に進化させるため、D&I推進委員会にて四半期ごとに進捗や課題を確認し、役員・部室店長から若手社員まで様々な部門の役職員が議論を実施。SDGs推進委員会では、社外の委員を含む場で議論を行っています。各委員会は、全ての社員がオブザーバーとして参加することができ、オープンな議論が展開されています。また、全部室店において「D&I企画担当者」を設置し、トップダウンとボトムアップの両立を図ると同時に、アンケートや社内SNS等を通じ、社員の声を拾うようにしています。
仕事と家庭の両立に関する社内制度の概要
一人ひとりのキャリア実現に向け、総合職のなかに転勤の範囲等により「総合職」、「広域エリア総合職」、「エリア総合職」の3つの職制があり、職制転向制度を利用し、全国転勤型への転向が可能となっています。
また、パート社員や派遣社員を対象とする正社員登用制度を設けており、登用後に総合職に職制転向する等、さらなるキャリアアップを目指す女性社員も増加しています。
結婚や配偶者の転勤、介護等により転居が必要な社員に転居後も勤務場所を提供する「勤務地変更制度」、配偶者の転勤に同行するにあたり、転居先に通勤できる支店等がない場合(国内・海外ともに)に最大5年間休職できる「配偶者転勤同行休職制度」、結婚や出産・介護等で退職した社員を退職時と同じ処遇で再雇用する「プロフェッショナル・リターン・プラン(営業員再雇用制度)」等、様々なライフイベントを経ても働き続けられる環境整備をしています。
兼業・副業については、60歳以上は原則可能としています。(60歳定年前は会社が承認が必要。)
妊娠から出産・育児における各種サポートをまとめた「仕事と育児の両立ガイドライン~出産・育児に関するサポートについて~」を全社員に公開しています。当ガイドラインでは、社員本人の体調や個々の事情に応じて、制度を使いやすいよう適切な配慮を促すと同時に、制度利用者や復職した社員等、様々な事情を抱える社員に対する公平で公正な評価やフィードバックについても記載しており、研修等でマネージャーへの継続的な周知・啓発を行なっています。また、妊娠期から小学校を卒業するまでの子がいる社員を対象とした「ダイワ育児クラブ~だいわっ子~」を設置し、ネットワーク構築を図っています。
日常の業務推進における職務行動を配下社員や関係部署が評価し、その結果を本人にフィードバックすることで、マネジメント能力の向上やグループ全体での生産性向上につなげることを目的に、役員・部室店長・課長を含めたすべてのマネジメント層を対象に実施しています。その中で「キャリアプランを含めた指導を行っているか」「両立支援制度への理解があるか」等を評価項目としています。
長時間労働是正のための取り組み内容
・2007年より「19時前退社の励行」を励行しており、限られた時間の中で生産性高く働くことを進めており、2019年からは健康維持と効率的な働き方を促進するため、勤務間インターバル制度を導入しています。
・心身共にリフレッシュし新たな活力を引き出すことで、生産性や業務効率を高めることを目的として、「計画的な年休取得」を促進しており、年休取得率は2019年度以降70%超となっています。
・計画的に休暇を取得しやすいよう、キッズセレモニー休暇・ファミリー・デイ休暇・親の長寿祝い休暇・勤続感謝休暇・妊婦エスコート休暇・結婚準備休暇・慶弔休暇・ボランティア休暇の設置等の各種休暇を整備するとともに、部室店内にて予定を可視化するための「制度利用カレンダー」を導入しています。
・仕事と育児・介護の両立など、柔軟な働き方ができるよう、テレワーク制度を全部門対象として導入しています。なお、両立支援においては、年休を半日単位や1時間単位で取得できる「時間単位年休制度」、法定を超える所定時間外労働の免除(小学校3年生までの子を持つ社員・介護中の社員が対象)や制限(小学校卒業までの子を持つ社員・介護中の社員)を設けています。
その他関連する取り組み内容など
【経営トップメッセージ】
人口の半数、当社グループの顧客の半数が女性である以上、企業活動において女性目線は必要不可欠であると考え、2005年以降、女性活躍推進を最重要課題の一つとして捉え、精力的に取組んでいます。2022年度には、男性の育児休職について2週間以上の取得を必須化にしたことに加え、処遇を一定期間保障する等、当社グループのみならず、社会課題の解決につなげるべく様々な施策を実施しています。KPIとして、女性取締役比率や女性管理職比率を設定しており、取締役会等で定期的に確認しています。KPI以外にも、ライン部課長の女性比率等は常にチェックしており、経営トップ自ら強いこだわりを持ち、前例にとらわれず積極的に昇格やマネージャーへの抜擢・登用をしています。また、トップのコミットメントが欠かせないと考え、各種委員会の他、全部店長が集う会議、全社員向けの社内ポータルサイト、女性向けキャリア研修等において、自らの言葉で考えを発信し、女性活躍推進に限らず、企業理念が浸透するよう取り組んでいます。また、社員一人ひとりとの対話を大切にし、2021年度は80回以上の懇親会を開催、幅広い社員と近い距離での接点をつくり、形式にとらわれずに直接想いを伝えています。
【経営戦略と人材戦略の位置づけ】
当社グループでは、企業理念の一つに「人材の重視」を掲げ、「競争力の源泉は人材である」としており、社員を重視することが、最終的にはお客様や株主の満足度を高めることにつながるという考えのもと、経営戦略を策定しています。2030年に向けて当社グループが目指すべき姿であり全役職員共通の行動指針として策定している“2030Vision”においては、当社グループにとって中長期的に重要な社会課題を抽出し、SDGs推進委員会の社外委員やグループ内有識者、各本部・グループ各社のSDGs推進における責任者、若手社員等とのコミュニケーションや、社会からの要請および当社グループが社会に与えるインパクトを踏まえ、サステナブル経営の基盤として「ダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)」を重点分野と位置付けています。ダイバーシティの観点において、女性を最も重要な対象として捉え、2005年の女性活躍推進チーム発足以来、ライフイベント等を経てもキャリアを継続し、活躍できるよう、「仕事と育児の両立支援」と「キャリア支援」を中心に様々な施策を実施するとともに、積極的な登用をすすめています。
【目標設定】
“2030Vision”の達成に向けた最初の3年間の戦略である、中期経営計画“Passion for the Best” 2026では、KPIとして「女性取締役比率30%以上」「女性管理職比率25%以上」を目標としています。その実現のため、採用、育成、登用の流れを可視化すべく、行動目標においては「新卒採用における女性比率を安定的に50%」、「様々なスキル・専門知識向上を目的とした研修における受講者に占める女性比率を50%」、性別役割分担意識の解消に向け、「男性の育児休職100%以上および取得日数14日以上」を掲げています。
【モニタリング体制】
進捗状況については、取締役会の他、SDGs推進委員会、D&I推進委員会にて代表執行役社長が委員長となって議論を行っています。D&I推進委員会とD&I推進室が連携しながら各種施策の検証・実行を進めているとともに、グループ横断の女性活躍推進会議を四半期毎に開催し、グループ全体で精力的に取組みを進めています。
【企業価値向上への期待】
デジタル化の進展、ライフスタイルの変化、気候変動、さらには地政学リスクの高まり等、ビジネス環境が大きく変化する中、社会課題の解決に向け、ビジネスを行うためには、画一的な視点だけでは本質的な課題解決をすることは難しく、様々な視点から生まれる発想が必要になります。多様な人材から意見が生まれ、相互作用を発揮してこそ、イノベーションの創出が可能となり、さらにはリスク管理能力も高まります。そのため、女性活躍推進、D&Iへの取組みは、企業価値向上における必要条件であり、経営課題として捉えています。
【参考】社内制度の導入割合と業種の特徴
職種・雇用形態転換制度
在宅勤務・テレワーク
正社員再雇用・中途採用制度
短時間勤務制度
教育訓練・研修制度
病気・不妊治療休暇
キャリアコンサルティング制度
年次有給休暇時間単位取得制度
フレックスタイム制度
日本標準産業分類における「金融業、保険業」は、資金の調達や運用、保険商品の提供を通じて経済活動を支える重要な役割を果たしています。銀行や証券会社、保険会社などが含まれ、資金運用やリスク管理が中心業務です。
金融業では、顧客の資産状況を分析し、適切な運用方法を提案するため、データ分析や数字に強いことが重要です。保険業ではリスクを評価し、最適な保険料を設定するため、統計的な分析力が必要です。また、顧客との信頼関係が重要であり、長期的な契約を維持するためには、適切な商品提案と迅速なカスタマーサポートが求められます。さらに、金融業、保険業ともにリスク管理が必須であり、金融機関は貸し倒れリスクや市場リスクに対して高度なリスク管理体制を整えています。法令遵守や内部監査も重要で、コンプライアンスの徹底が求められます。
近年ではフィンテックの進展により、オンラインバンキングやキャッシュレス決済、ロボアドバイザーなど新しいサービスが次々に登場し、IT技術を活用した業務効率化が進んでいます。これに伴い、サイバーセキュリティ対策も強化されており、顧客の資産や個人情報を保護するための最新技術が求められます。さらに、金融業や保険業は国際的な取引や海外市場での活動が増加しており、外国語スキルや国際的な金融規制に対する理解も必要です。多国籍企業との取引や海外進出の機会も多く、グローバルなビジネス経験が求められる場面も増えています。
金融業、保険業は高収入が期待できる分野であり、成果に応じた報酬制度が設けられていることが多いです。特に資産運用や投資に携わる職種では、成功次第でインセンティブが支給され、高い報酬を得ることが可能です。また、銀行や証券会社では営業職やアナリストからマネジメント職、さらには経営層へのキャリアアップが期待されます。保険業でも、営業職から管理職や企画職へとキャリアを進めることができ、金融業界の経験は他業種でも活かされるため、幅広いキャリアパスが開かれています。
社会的な影響力も大きく、金融機関は企業への融資を通じて経済成長や社会インフラ整備に貢献し、保険業ではリスクに備える商品提供を通じて個人や企業に安心を提供しています。このように、金融業、保険業は経済の安定と成長に貢献する重要な役割を果たし、社会全体に対する貢献が求められる仕事です。