就職や転職には、求人サイト・転職エージェント経由など、様々な応募方法があります。近年の深刻化している人手不足の中、多くの企業で、直接、ホームページなどから応募できる求人体制を整えています。この記事では、求人サイト・転職エージェントを通さない、直接応募のメリット・デメリットや、直接応募をする際に意識したいポイントをご紹介しますので、是非お役立てください。
目次
企業の人手不足感の現状
企業の人手不足感は高いとよく言われていますが、実際のところ、どの程度なのでしょうか。
厚生労働省は、景気の変動が雇用などに及ぼしている影響や今後の見通しについて調査し、労働経済の変化や問題等を把握することを目的に、四半期ごとに労働経済動向調査を実施しています。
令和5年6月に公表された「労働経済動向調査(令和5年5月)」の調査結果によると、令和5年5月1日現在の正社員等の労働者過不足判断D.I.(※)は調査産業計でプラス44ポイントであり、平成23年8月調査から48期連続して不足超過となり、特に、「運輸業,郵便業」、「建設業」、「医療,福祉」で人手不足感が高くなっています。
一方、パートタイマーの労働者過不足判断D.I.は調査産業計でプラス28ポイントであり、平成21年11月調査から55期連続して不足超過となっています。特に、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「サービス業(他に分類されないもの)」で人手不足感が高い結果となっています。
※ 「労働者過不足判断D.I.」とは、調査時点において、労働者が「不足」と回答した事業所の割合から「過剰」と回答した事業所の割合を差し引いた値です。この判断D.I.がプラスであれば、人手不足と感じている企業が多いことを示します。
直接応募とは
このような人手不足の中、多くの企業が採用活動を積極的に行っています。企業側としては、求人サイトや転職エージェントは、求人広告費を支払ったり、応募者の入社が決まった場合は手数料を支払ったりする必要があります。
求職者の立場として、就職・転職活動において、直接、企業に応募することを直接応募と言います。求人サイトや転職エージェントを介さないので、企業とのやり取りや条件の調整は、自身が企業と直接行います。直接応募の場合、こうした広告費や手数料がかからないため、企業側の採用コストが節約できることから、募集する職種やポジションによって、ホームページなどで直接応募を受け付けている企業は多数あります。
企業側にそのようなメリットがある直接応募について、求職者側の視点で、直接応募に関する内容を見ていきましょう。
直接応募の方法
企業のホームページの採用ページなどを利用して、履歴書・職務経歴書などの必要書類を、郵送もしくは応募フォームで送付します。また、求人サイトや転職サイトによっては、直接応募の求人を紹介しているサイトもあります。その場合、掲載されている応募先へ直接応募します。
直接応募の5つのメリット
直接応募の主なメリットを5つ挙げます。企業に直接応募するかどうかは、個々の状況や目指すキャリアによって異なりますが、直接応募にも多くのメリットがありますので、以下を見ていきましょう。
直接的なコミュニケーション
直接応募することで、求職者と採用担当者間の直接的なコミュニケーションが可能になります。これにより、より個人的で具体的なやり取りができ、自身の情熱や真剣度を直接伝えることができます。
スピーディーな選考
会社の選考方法によって異なりますが、中間媒体を介さないため、応募から面接、採用までのプロセスがスピーディーに進むことがあります。企業との直接的なコミュニケーションは余分な時間を省略し、迅速な対応を可能にします。
企業情報の正確性
企業の採用担当者などから直接情報を得られるため、職務内容、企業文化、待遇などの情報が、より正確で最新のものを取得できる可能性が高いです。また、取得した情報に対して自分の言葉で質問することで、より正確な情報を確認できる回答を得られる機会も高くなります。
自己PRの強調
直接応募することで、自己PRや志望動機をカスタマイズし、他の応募者との差別化を図ることができます。そのことにより、その企業に対する情熱や真剣度に加え、自分自身の個性や独自性を、どのように会社に活かすことができるかを前面に出してPRしやすくなります。
応募先の選択
自分で応募先を選べるため、興味のある企業やポジションに絞って直接応募することができます。また、中間媒体を介さないため、自分の都合のいいタイミングで応募することができます。
直接応募の5つのデメリット
次に、直接応募の主なデメリットを5つ挙げます。企業に直接応募するかどうかは、個々の状況や目指すキャリアによって異なりますので、その時々に応じた適切な選択ができるように、以下の内容を見ていきましょう。
情報やサポートの制限
求人サイトや転職エージェントなどの媒体を介さないため、利用できる情報やサポートが限られます。市場のトレンドや給与の相場、履歴書の書き方など、専門的なアドバイスを受ける機会が少なくなります。
機会の制限
採用情報を公開していない企業も多く、その場合は直接応募の機会がありません。また、採用媒体には掲載されているが企業のウェブサイトには掲載されていない求人もあります。管理職などポジションが高い場合や、業務の気密性が高い職種の求人ほど、採用情報を公開していない場合が多いようです。
競争率の高さ
公開されている求人で、人気企業や魅力的なポジションには多くの応募があり、競争率が高くなる傾向があります。特に、ブランド名が知られている企業や業界では、限られた募集枠に対し、数多くの応募者と競争することになります。とはいえ、それは求人サイトや転職エージェントなどの媒体を介した場合でも同様です。
フィードバックの欠如
中間媒体を介さないため、応募、選考後のフィードバックが得られにくいことがあります。 特に、不採用の場合、その理由や改善点を知る機会が少なくなることがあります。それらを不安に思う場合は、転職エージェントなどを活用するほうがいいかもしれません。
応募手続きの手間
企業ごとに応募プロセスが異なるため、一つ一つの応募にかかる手間が増えます。書類の準備やフォーマットの調整など、時間と労力が必要になることがあります。また、直接応募では、選考スケジュールの調整や条件面のすり合わせといった交渉も自分で行う必要があります。条件面の交渉などが必要になる場合は、専門的なアドバイスを受ける機会が少なくなります。
直接応募する際に意識すべきポイント
メールや電話のやりとりも評価される
直接応募では、採用担当者を中心とする企業の方と直接メールや電話でやり取りを行います。そのため、やり取りの内容やマナーも評価の対象になる可能性もあります。可能な限り、迅速かつ丁寧な対応を心がけましょう。
年収などの雇用条件はチェックする
直接応募の場合、年収や休日、福利厚生などの雇用条件が明示されていない場合や、募集職種によって個別の雇用条件である場合も珍しくありません。内定が決まって雇用契約を締結する際に、初めて想定していなかった条件があるという事態を避けるためにも、面接時に気になる雇用条件を必ず聞いて、自分の希望と合うか確認をしましょう。
もし希望と合わない場合には交渉を行いますが、自分自身の市場価値を正確に認識し、納得のいくものかどうか、希望条件の優先度を決めておくだけではなく、絶対に譲れない条件も事前に考えておくのがお勧めです。
企業研究はしっかりとする
直接応募したのに、採用サイトに記載されていることを知らなかったり、自社サイトで公開されていることを質問したりすると、「熱意が低い」と考えられてしまいます。直接応募の場合、自分で情報収集をする必要がありますので、企業研究の時間をしっかりと確保しましょう。採用情報に記載されている内容をチェックするだけではなく、その企業の商品やサービスに実際に触れてみたり、就職・転職に関する口コミを見たりすることもお勧めです。
長期間募集している求人は要注意
長期間募集を行っている求人は、なかなか人が集まらなかったり、入社してもすぐに辞めてしまう人が多かったりする可能性があります。通年採用を行っていない企業が、長期間募集を掲載している場合には、何らかの理由があるケースが多いので注意しましょう。
まとめ
直接応募とは、求職者が求人サイトや転職エージェントを介さずに、企業の採用ページや応募フォームを通じて直接企業に応募する方法です。この方法は、企業との直接的なコミュニケーションを可能にし、スピーディーな選考や正確な企業情報の取得などのメリットがあります。さらに、自己PRの強調や応募先の選択の自由度が高い点も特徴です。一方で、直接応募は、情報やサポートの制限、競争率の高さ、フィードバックの欠如、応募手続きの手間などのデメリットもあります。
直接応募する際には、メールや電話のやり取りも評価されるため、迅速かつ丁寧な対応が求められます。また、年収や雇用条件を事前にチェックし、企業研究をしっかり行うことが大切です。
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