美術家、写真家、映像撮影者とは、彫刻・絵画・美術工芸品等の芸術作品の創作及びイラストの制作に従事するもの(美術家)、カメラを使用して肖像写真の撮影をするため又は新聞・雑誌等に掲載するための写真撮影の仕事に従事するもの(写真家)並びに映画・テレビ用撮影機の操作などの仕事に従事するもの(映像撮影者)をいいます。転職・就職活動では、まずは職種の内容を網羅的に確認したうえで、職種ごとの特徴や傾向を理解するようにするとよいでしょう。ここでは、職種をより詳しく知るきっかけとなるように、「美術家、写真家、映像撮影者」を紹介します。
職種とは
「職種」とは、仕事の種類のことです。会社がある事業を手がけるとき、会社内では、複数の業務・役割が必要になります。例えば、モノやサービスをつくる(生産・製造)、モノやサービスを売る(営業・販売)、業績や経費支出等の計数を取りまとめる(経理)などがあります。このように、働く人が従事する業務・役割の違いが職種です。
業種や業界が企業や仕事の枠組み全体を意味するのに対し、職種は企業や組織の中でさらに細かく分かれる業務や役割を意味します。
業種との違い
「業種」とは、事業の種類のことであり、世の中のさまざまな事業・ビジネスの種類を区分するために用いる言葉です。具体的な区分の仕方はいくつかあり、総務省が定める「日本標準産業分類」や、証券業界で使われている証券コード協議会が定める「業種別分類項目」が有名です。
学生が就職活動のためにどんな業種があるかを知りたい際には、証券コード協議会が定める「業種別分類項目」の中分類33種を目に通してみるとよいでしょう。多すぎもせず、少なすぎもしないので、研究をする際にもちょうどよいと思います。
一方で、就業経験がある人が転職活動を始める際は、より詳細に、今の自分の業種と職種を正確に把握することが重要です。産業分類(業種)や職業分類(職種)の一覧表を参照すると、自分の所属する企業の業種や、自分が従事する職種を確認できます。業種については正確な定義はなく、業種の分類を独自に行っている求人検索エンジンもありますが、総務省の「日本標準産業分類(令和5年6月改訂)」で細かく分類されており、それが基本になっています。
厚生労働省編職業分類とは
「厚生労働省編職業分類」(以下「職業分類」といいます)とは、職務の類似性及び職業紹介業務における求人・求職の取扱件数などに基づいて、それぞれの職業に対して社会的にどの程度需給があるかを考慮して職業を区分し、それを体系的に分類したもので、職業紹介事業や労働者の募集等に共通して用いるための職業分類として編集されたものです。
1953 年に初めて作成され、その後、主に社会経済情勢の変化等に伴う職業構造の変化を職業分類表に反映させるための数次の改定が行われています。
直近では2022年4月に、「第5回改定 厚生労働省編職業分類」として新職業分類が公表されました。その改定の背景としては、2011年改定の職業分類が改定から一定年数が経過し、この間の産業構造、職業構造の変化等に伴い、求人・求職者の職業認識との乖離が生じている分野がみられ、マッチング上の課題も散見されていたことがあります。これらの課題を踏まえ、日本標準職業分類に準拠して作成されていた職業分類を、統計という観点においては日本標準職業分類に対応させつつ、求人・求職のマッチングをより円滑に行えるようにするという観点から行われています。
この職業分類の分類表は、大分類、中分類、小分類の3段階に区分された分類項目によって構成されています。最も大きな区分である大分類は、次に掲げる15種類の区分で構成され、より細かな区分として、中分類、小分類を設定しています。
【大分類】
管理的職業
研究・技術の職業
法務・経営・文化芸術等の専門的職業
医療・看護・保健の職業
保育・教育の職業
事務的職業
販売・営業の職業
福祉・介護の職業
サービスの職業
警備・保安の職業
農林漁業の職業
製造・修理・塗装・製図等の職業
配送・輸送・機械運転の職業
建設・土木・電気工事の職業
運搬・清掃・包装・選別等の職業
まず、今の自分の職種を正確に把握するために、職業分類でどこに分類されるか確認していきましょう。
分類は、大分類(2桁数字で表記)、中分類(3桁数字で表記)、小分類(5桁数字で表記)の3つのレベルに分かれています。まず、職業分類の大分類の概要から、仕事内容が大分類のどこに分類されるかを確認します。次に、より細かい分類を知りたい場合、中分類、小分類と、更に細かく分類項目が分かれていますので、各項目の説明や内容例示から、分類を確認します。
参照:職業分類表 改定の経緯とその内容:第5回改定厚生労働省編職業分類|労働政策研究・研修機構(JILPT)
このページでは、前述した15種類の区分の「法務・経営・文化芸術等の専門的職業」のうち、「美術家、写真家、映像撮影者」を紹介します。
美術家、写真家、映像撮影者とは
彫刻・絵画・美術工芸品等の芸術作品の創作及びイラストの制作に従事するもの(美術家)、カメラを使用して肖像写真の撮影をするため又は新聞・雑誌等に掲載するための写真撮影の仕事に従事するもの(写真家)並びに映画・テレビ用撮影機の操作などの仕事に従事するもの(映像撮影者)をいいます。
この中分類に該当する職業は、次のいずれかの小分類に分類します。
016-01 美術家、イラストレーター
016-02 写真家、映像撮影者
016-01 美術家、イラストレーター
彫刻(木彫・石彫・ブロンズ像・塑像等)、絵画、版画、書、漫画、美術工芸品(陶磁工芸品・漆工芸品・染織工芸品・金属工芸品等)などの創作に従事するもの(美術家)及び写実・デフォルメ・戯画化などの手法を用いて人物・植物・動物・風景などをイラストとして描く仕事に従事するもの(イラストレーター)をいいます。
〇 この項目に該当する職種で代表的なものは次の通りです。
イラストレーター
漆工芸家
画家
刀かじ
ガラス工芸家
金属工芸家
金属彫刻家
劇画家
工芸美術家
コミック作家
書家
書道家
染織工芸家
彫刻家
テクニカルイラストレーター
陶芸家
日本画家
版画家
漫画家
木工芸家
洋画家
× この項目に誤って分類されがちな職種は次の通りです。
グラフィックデザイナー[017-02]
七宝工[ 073-02]
陶磁器画工[073-02]
木彫工[073-04]
指物職[073-04]
貴金属彫刻工[073-99]
漆器工[073-99]
まき絵師[073-99]
アニメーター[080-03]
看板制作工[080-03]
なお、以下のものは、それぞれの分類項目に分類します。
(1)紙などの平面媒体に文字・色彩・構図などのデザインを考案する仕事に従事するもの[017-02 グラフィックデザイナー]
(2)七宝を製造する作業に従事するもの[073-02 七宝工]
(3)陶磁器の表面に絵模様を描く仕事に従事するもの[073-02 陶磁器画工]
(4)木材料に文字・絵・模様などを彫り込む仕事及び木材料を彫り刻んで立体的な像を製作する仕事に従事するもの[073-04 木彫工]
(5)小箱・鏡台・神仏具などの指物を製作する作業に従事するもの[073-04 指物職]
(6)金・銀などの貴金属に文字・絵・模様などを彫り込む仕事に従事するもの[073-99 貴金属彫刻工]
(7)漆器を製作する作業に従事するもの[073-99 漆器工]
(8)漆で描いた絵・文様の上に金・銀の粉をま(蒔)いて付着させ、漆器を装飾する作業に従事するもの[073-99 まき絵師]
(9)アニメーションを制作するための描画の作業に従事するもの[080-03 アニメーター]
(10)看板に絵・文字を描(書)く仕事に従事するもの[080-03 看板制作工]
016-02 写真家、映像撮影者
カメラを使用して肖像写真を撮影し、写真の修整、プリント制作などを行う仕事に従事するもの及び新聞・雑誌などに掲載するため、あるいは広告・宣伝に用いるため、カメラを使用して事件・事故の現場、人物、製品などを撮影する仕事に従事するもの(写真家)並びに映画・テレビカメラ等を操作して動画を撮影する仕事に従事するもの(映像撮影者)をいいます。
撮影準備・照明補助・画像処理などの写真撮影・動画撮影の補助業務に従事するものを含みます。
〇 この項目に該当する職種で代表的なものは次の通りです。
映画カメラマン
営業写真家
カメラマン
商業カメラマン
テレビカメラマン
動画カメラマン
ドローンパイロット(撮影)
フォトグラファー
報道カメラマン
映像撮影者助手
カメラマン助手
撮影助手
写真家助手
× この項目に誤って分類されがちな職種は次の通りです。
診療放射線技師[024-01]
写真現像オペレーター[080-99]
映写係[081-01]
なお、以下のものは、それぞれの分類項目に分類します。
(1)X線を用いた人体の撮影及び写真処理の仕事に従事するもの[024-01 診療放射線技師]
(2)撮影は行わず、デジタルカメラの記録媒体に保存された写真の電子データを出力してプリント制作を行う仕事に従事するもの[080-99 写真現像オペレーター]
(3)映写機を操作する仕事に従事するもの[081-01 映写係]
まとめ
転職・就職活動では、業種や業界、職種など、似た言葉が数多くありますが、どれも異なる意味を持っています。自分に合った仕事を見つけ、転職・就職活動を成功させるためには、それぞれの言葉の意味を正しく理解しておく必要があります。本記事を参考に、まずは職種の理解を深めておきましょう。
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