医師、歯科医師、獣医師、薬剤師とは、医師、歯科医師、獣医師又は薬剤師の免許を有し、診断・治療・調剤などの医学・獣医学・薬学の知識を必要とする専門的・技術的な仕事に従事するものをいいます。転職・就職活動では、まずは職種の内容を網羅的に確認したうえで、職種ごとの特徴や傾向を理解するようにするとよいでしょう。ここでは、職種をより詳しく知るきっかけとなるように、「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」を紹介します。
職種とは
「職種」とは、仕事の種類のことです。会社がある事業を手がけるとき、会社内では、複数の業務・役割が必要になります。例えば、モノやサービスをつくる(生産・製造)、モノやサービスを売る(営業・販売)、業績や経費支出等の計数を取りまとめる(経理)などがあります。このように、働く人が従事する業務・役割の違いが職種です。
業種や業界が企業や仕事の枠組み全体を意味するのに対し、職種は企業や組織の中でさらに細かく分かれる業務や役割を意味します。
業種との違い
「業種」とは、事業の種類のことであり、世の中のさまざまな事業・ビジネスの種類を区分するために用いる言葉です。具体的な区分の仕方はいくつかあり、総務省が定める「日本標準産業分類」や、証券業界で使われている証券コード協議会が定める「業種別分類項目」が有名です。
学生が就職活動のためにどんな業種があるかを知りたい際には、証券コード協議会が定める「業種別分類項目」の中分類33種を目に通してみるとよいでしょう。多すぎもせず、少なすぎもしないので、研究をする際にもちょうどよいと思います。
一方で、就業経験がある人が転職活動を始める際は、より詳細に、今の自分の業種と職種を正確に把握することが重要です。産業分類(業種)や職業分類(職種)の一覧表を参照すると、自分の所属する企業の業種や、自分が従事する職種を確認できます。業種については正確な定義はなく、業種の分類を独自に行っている求人検索エンジンもありますが、総務省の「日本標準産業分類(令和5年6月改訂)」で細かく分類されており、それが基本になっています。
厚生労働省編職業分類とは
「厚生労働省編職業分類」(以下「職業分類」といいます)とは、職務の類似性及び職業紹介業務における求人・求職の取扱件数などに基づいて、それぞれの職業に対して社会的にどの程度需給があるかを考慮して職業を区分し、それを体系的に分類したもので、職業紹介事業や労働者の募集等に共通して用いるための職業分類として編集されたものです。
1953 年に初めて作成され、その後、主に社会経済情勢の変化等に伴う職業構造の変化を職業分類表に反映させるための数次の改定が行われています。
直近では2022年4月に、「第5回改定 厚生労働省編職業分類」として新職業分類が公表されました。その改定の背景としては、2011年改定の職業分類が改定から一定年数が経過し、この間の産業構造、職業構造の変化等に伴い、求人・求職者の職業認識との乖離が生じている分野がみられ、マッチング上の課題も散見されていたことがあります。これらの課題を踏まえ、日本標準職業分類に準拠して作成されていた職業分類を、統計という観点においては日本標準職業分類に対応させつつ、求人・求職のマッチングをより円滑に行えるようにするという観点から行われています。
この職業分類の分類表は、大分類、中分類、小分類の3段階に区分された分類項目によって構成されています。最も大きな区分である大分類は、次に掲げる15種類の区分で構成され、より細かな区分として、中分類、小分類を設定しています。
【大分類】
管理的職業
研究・技術の職業
法務・経営・文化芸術等の専門的職業
医療・看護・保健の職業
保育・教育の職業
事務的職業
販売・営業の職業
福祉・介護の職業
サービスの職業
警備・保安の職業
農林漁業の職業
製造・修理・塗装・製図等の職業
配送・輸送・機械運転の職業
建設・土木・電気工事の職業
運搬・清掃・包装・選別等の職業
まず、今の自分の職種を正確に把握するために、職業分類でどこに分類されるか確認していきましょう。
分類は、大分類(2桁数字で表記)、中分類(3桁数字で表記)、小分類(5桁数字で表記)の3つのレベルに分かれています。まず、職業分類の大分類の概要から、仕事内容が大分類のどこに分類されるかを確認します。次に、より細かい分類を知りたい場合、中分類、小分類と、更に細かく分類項目が分かれていますので、各項目の説明や内容例示から、分類を確認します。
参照:職業分類表 改定の経緯とその内容:第5回改定厚生労働省編職業分類|労働政策研究・研修機構(JILPT)
このページでは、前述した15種類の区分の「医療・看護・保健の職業」のうち、「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」を紹介します。
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師とは
医師、歯科医師、獣医師又は薬剤師の免許を有し、診断・治療・調剤などの医学・獣医学・薬学の知識を必要とする専門的・技術的な仕事に従事するものをいいます。
ただし、医師、歯科医師又は薬剤師の免許を有し、診断・治療・調剤などの仕事に従事する自衛官[060 自衛官]を除きます。
なお、医学・歯学・獣医学・薬学に関する専門的・科学的な知識を必要とする試験・研究の仕事に従事するものは、[004 研究者]に分類します。
この中分類に該当する職業は、次のいずれかの小分類に分類します。
021-01 医師
021-02 歯科医師
021-03 獣医師
021-04 薬剤師
医師[021-01]
医師の免許を有し、身体各部の疾患・機能障害の診断・治療・手術・研究、保健指導、健康管理、臨床検査、医学的きょう(矯)正保護、医学的鑑識、保険事業に伴う医学的審査、海・空港における出入港検疫などの専門的・技術的な仕事に従事するものをいいます。
医師の免許を有する病院長・診療所長を含みます。
ただし、大学の教授・准教授又は講師であって学生等に対する教授及び大学付属の病院などで診断・治療などの仕事に従事するもの[031-07 医学系大学教授]を除きます。
○ この項目に該当する職種で代表的なものは次の通りです。
検疫官( 医師)
小児科医
消化器内科医
外科医
産婦人科医
整形外科医
精神科医
内科医
× この項目に誤って分類されがちな職種は次の通りです。
医学研究者[004-01]
看護師[023:主に業務に従事する場所に即して分類する]
准看護師[023:主に業務に従事する場所に即して分類する]
医学系大学教授[031-07]
医師事務作業補助者[037-01]
なお、以下のものは、それぞれの分類項目に分類します。
(1)看護師の免許を有し、傷病者などに対する療養上の世話、診療の補助業務などに従事するもの[023 看護師:主に業務に従事する場所に即して分類する]
(2)准看護師の免許を有し、医師・看護師の指示のもとに、傷病者などに対する療養上の世話、診療の補助業務などに従事するもの[023 准看護師:主に業務に従事する場所に即して分類する]
(3)医学分野の基礎的・応用的な問題を解明するための専門的・科学的な試験・研究の仕事に従事するもの[004-01 医学研究者]
(4)病院において、医療文書の作成補助、診療記録の入力代行、診療データの整理などの医師の事務作業を補助する仕事に従事するもの[037-01 医師事務作業補助者]
歯科医師[021-02]
歯科医師の免許を有し、歯・その周囲組織又は口くう(腔)に生ずる疾患の診断・治療、予防指導などの専門的・技術的な仕事に従事するものをいいます。
歯科医師の免許を有する歯科病院長・歯科診療所長を含みます。
ただし、大学の教授・准教授又は講師であって学生等に対する教授及び大学付属の病院などで歯科に関する診断・治療などの仕事に従事するもの[031-07 歯学系大学教授]を除きます。
○ この項目に該当する職種で代表的なものは次の通りです。
小児歯科医
× この項目に誤って分類されがちな職種は次の通りです。
歯学研究者[004-01]
歯科助手[028-02]
歯学系大学教授[031-07]
なお、以下のものは、それぞれの分類項目に分類します。
(1)歯学分野の基礎的・応用的な問題を解明するための専門的・科学的な試験・研究の仕事に従事するもの[004-01 歯学研究者]
(2)病院・歯科診療所において、歯科診療の補助業務に従事するもの[028-02 歯科助手]
獣医師[021-03]
獣医師の免許を有し、家畜・家きん(禽)・愛がん動物などの疾患・機能障害の診断・治療、飼主に対する保健衛生指導、動物・畜産物の防疫、と畜検査などの専門的・技術的な仕事に従事するものをいいます。
獣医師の免許を有する動物病院長・家畜診療所長を含みます。
○ この項目に該当する職種で代表的なものは次の通りです。
家畜診療所獣医師
小動物臨床獣医師
と畜検査員
動物病院獣医師
× この項目に誤って分類されがちな職種は次の通りです。
畜産試験場研究員[004-01]
家畜人工授精師(獣医師でないもの)[005-01]
食品衛生監視員[027-99]
動物病院助手[028-99]
獣医学系大学教授[031-07]
なお、以下のものは、それぞれの分類項目に分類します。
(1)畜産試験場において家畜の品種改良・増殖に関する試験・研究の仕事に従事するもの[004-01 畜産試験場研究員]
(2)家畜人工授精師の免許を有し、家畜の人工授精を行う仕事に従事するもの[005-01 家畜人工授精師(獣医師でないもの)]
(3)獣医師の免許を有し、保健所において食品の衛生監視の仕事に従事するもの[027-99 食品衛生監視員]
(4)獣医療の補助業務に従事するもの[028-99 動物病院助手]
(5)大学の教授・准教授又は講師であって学生等に獣医学の専門分野を教授する仕事に従事するもの[031-07 獣医学系大学教授]
薬剤師[021-04]
薬剤師の免許を有し、薬局・病院・診療所などにおいて、処方せんの内容確認、処方せんにもとづく医薬品の調剤、服薬指導、薬品の管理などの専門的・技術的な仕事に従事するものをいいます。
以下のものを含みます。
(1)薬剤師の免許を有し、薬局・一般店舗において一般用医薬品を販売する仕事に従事するもの
(2)薬剤師の免許を有し、医薬品の卸売事業所において医薬品の供給管理の仕事に従事するもの
(3)薬剤師の免許を有し、医薬品製造事業所において医薬品の製造管理の仕事に従事するもの
○ この項目に該当する職種で代表的なものは次の通りです。
医薬品管理薬剤師( 医薬品卸売業)
医薬品製造管理薬剤師(製薬会社)
医薬品販売員(薬剤師)
管理薬剤師
薬剤師(漢方相談薬局)
薬剤師(調剤薬局)
薬剤師(病 院調剤所)
× この項目に誤って分類されがちな職種は次の通りです。
医薬品研究者[004-01]
治験コーディネーター(CRC)[027-99]
薬事監視員[027-99]
臨床開発モニター( CRA)[037-01]
医薬品登録販売者[ 045-08]
動物用医薬品登録販売者[ 045-08]
医薬情報担当者(MR)[048-03]
医薬品卸販売担当者(MS)[048-03]
麻薬取締官[061-99]
なお、以下のものは、それぞれの分類項目に分類します。
(1)研究所などにおいて医薬品の開発、技術上の改良を目的とした基礎的・応用的な試験・研究の仕事に従事するもの[004-01 医薬品研究者]
(2)新薬開発の臨床試験(治験)を実施する医療機関において、医師の指示のもとに、被験者の募集、検査日程の管理、服薬状況の確認、検査データの収集・管理、被験者のサポートなどの仕事に従事するもの[027-99 治験コーディネーター(CRC)]
(3)医薬品・医薬部外品などの品質不良、不正表示、虚偽・誇大広告などの指導・取締りの仕事に従事するもの[027-99 薬事監視員]
(4)新薬開発の臨床試験(治験)において、治験薬の医療機関への引き渡し、治験実施中のモニタリング、モニタリング訪問報告書の作成などの仕事に従事するもの[037-01 臨床開発モニター(CRA)]
(5)医薬品登録販売者の資格を有し、第二類及び第三類の一般用医薬品を販売する仕事に従事するもの[045-08 医薬品登録販売者]
(6)動物用医薬品(要指示医薬品を除く)を販売する仕事に従事するもの[045-08動物用医薬品登録販売者]
(7) 医薬品に関する専門的な情報を医療機関に提供する仕事に従事するもの[048-03 医薬情報担当者(MR)]
(8)薬局・病院などに医薬品を卸販売する仕事に従事するもの[048-03 医薬品卸販売担当者(MS)]
(9)麻薬取締官として司法警察権を行使する仕事に従事するもの[061-99 麻薬取締官]
まとめ
転職・就職活動では、業種や業界、職種など、似た言葉が数多くありますが、どれも異なる意味を持っています。自分に合った仕事を見つけ、転職・就職活動を成功させるためには、それぞれの言葉の意味を正しく理解しておく必要があります。本記事を参考に、まずは職種の理解を深めておきましょう。
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