その他の輸送の職業とは、列車・バスの車掌業務、鉄道車両の操車・連結の作業、船舶の甲板部・機関部の作業、フォークリフトの運転、その他[083 貨物自動車運転の職業]~[087 鉄道・船舶・航空機運転の職業]に含まれない輸送の仕事をいいます。転職・就職活動では、まずは職種の内容を網羅的に確認したうえで、職種ごとの特徴や傾向を理解するようにするとよいでしょう。ここでは、職種をより詳しく知るきっかけとなるように、「その他の輸送の職業」を紹介します。
目次
職種とは
「職種」とは、仕事の種類のことです。会社がある事業を手がけるとき、会社内では、複数の業務・役割が必要になります。例えば、モノやサービスをつくる(生産・製造)、モノやサービスを売る(営業・販売)、業績や経費支出等の計数を取りまとめる(経理)などがあります。このように、働く人が従事する業務・役割の違いが職種です。
業種や業界が企業や仕事の枠組み全体を意味するのに対し、職種は企業や組織の中でさらに細かく分かれる業務や役割を意味します。
業種との違い
「業種」とは、事業の種類のことであり、世の中のさまざまな事業・ビジネスの種類を区分するために用いる言葉です。具体的な区分の仕方はいくつかあり、総務省が定める「日本標準産業分類」や、証券業界で使われている証券コード協議会が定める「業種別分類項目」が有名です。
学生が就職活動のためにどんな業種があるかを知りたい際には、証券コード協議会が定める「業種別分類項目」の中分類33種を目に通してみるとよいでしょう。多すぎもせず、少なすぎもしないので、研究をする際にもちょうどよいと思います。
一方で、就業経験がある人が転職活動を始める際は、より詳細に、今の自分の業種と職種を正確に把握することが重要です。産業分類(業種)や職業分類(職種)の一覧表を参照すると、自分の所属する企業の業種や、自分が従事する職種を確認できます。業種については正確な定義はなく、業種の分類を独自に行っている求人検索エンジンもありますが、総務省の「日本標準産業分類(令和5年6月改訂)」で細かく分類されており、それが基本になっています。
厚生労働省編職業分類とは
「厚生労働省編職業分類」(以下「職業分類」といいます)とは、職務の類似性及び職業紹介業務における求人・求職の取扱件数などに基づいて、それぞれの職業に対して社会的にどの程度需給があるかを考慮して職業を区分し、それを体系的に分類したもので、職業紹介事業や労働者の募集等に共通して用いるための職業分類として編集されたものです。
1953 年に初めて作成され、その後、主に社会経済情勢の変化等に伴う職業構造の変化を職業分類表に反映させるための数次の改定が行われています。
直近では2022年4月に、「第5回改定 厚生労働省編職業分類」として新職業分類が公表されました。その改定の背景としては、2011年改定の職業分類が改定から一定年数が経過し、この間の産業構造、職業構造の変化等に伴い、求人・求職者の職業認識との乖離が生じている分野がみられ、マッチング上の課題も散見されていたことがあります。これらの課題を踏まえ、日本標準職業分類に準拠して作成されていた職業分類を、統計という観点においては日本標準職業分類に対応させつつ、求人・求職のマッチングをより円滑に行えるようにするという観点から行われています。
この職業分類の分類表は、大分類、中分類、小分類の3段階に区分された分類項目によって構成されています。最も大きな区分である大分類は、次に掲げる15種類の区分で構成され、より細かな区分として、中分類、小分類を設定しています。
【大分類】
管理的職業
研究・技術の職業
法務・経営・文化芸術等の専門的職業
医療・看護・保健の職業
保育・教育の職業
事務的職業
販売・営業の職業
福祉・介護の職業
サービスの職業
警備・保安の職業
農林漁業の職業
製造・修理・塗装・製図等の職業
配送・輸送・機械運転の職業
建設・土木・電気工事の職業
運搬・清掃・包装・選別等の職業
まず、今の自分の職種を正確に把握するために、職業分類でどこに分類されるか確認していきましょう。
分類は、大分類(2桁数字で表記)、中分類(3桁数字で表記)、小分類(5桁数字で表記)の3つのレベルに分かれています。まず、職業分類の大分類の概要から、仕事内容が大分類のどこに分類されるかを確認します。次に、より細かい分類を知りたい場合、中分類、小分類と、更に細かく分類項目が分かれていますので、各項目の説明や内容例示から、分類を確認します。
参照:職業分類表 改定の経緯とその内容:第5回改定厚生労働省編職業分類|労働政策研究・研修機構(JILPT)
このページでは、前述した15種類の区分の「配送・輸送・機械運転の職業」のうち、「その他の輸送の職業」を紹介します。
その他の輸送の職業とは
列車・バスの車掌業務、鉄道車両の操車・連結の作業、船舶の甲板部・機関部の作業、フォークリフトの運転、その他[083 貨物自動車運転の職業]~[087 鉄道・船舶・航空機運転の職業]に含まれない輸送の仕事をいいます。
この中分類に該当する職業は、次のいずれかの小分類に分類します。
088-01 車掌
088-02 鉄道車両入換・編成作業員
088-03 甲板員、船舶機関員
088-04 フォークリフト運転作業員
088-99 他に分類されない輸送の職業
車掌[088-01]
列車・バスなどに乗務し、発車の合図、ドアの開閉、車内の秩序保持、検札、観光地・名所旧跡の説明・案内、乗客の世話、バス駐車時の後方誘導などの仕事に従事するものをいいます。
○ この項目に該当する職種で代表的なものは次の通りです。
観光バスガイド
観光バス車掌
車掌(鉄道)
鉄道車掌
バスガイド
路線バス車掌
電車車掌
× この項目に誤って分類されがちな職種は次の通りです。
観光案内人[ 058-01]
ツアーコンダクター[ 058-01]
添乗員[ 058-01]
ロープウェイ乗務員[088-99]
なお、以下のものは、それぞれの分類項目に分類します。
(1)旅行客に付き添い名所・旧跡などを案内する仕事に従事するもの[058-01 観光案内人]
(2)団体旅行に同行し、旅程の管理などの仕事に従事するもの[058-01 ツアーコンダクター、058-01 添乗員]
(3)ロープウェイに乗務し、乗降客の誘導、観光案内などの仕事に従事するもの[088-99 ロープウェイ乗務員]
鉄道車両入換・編成作業員[088-02]
鉄道の駅構内・車両基地などにおいて、列車の組成、車両の入換えのため、車両の連結器等の解除・接続などの作業に従事するものをいいます。
○ この項目に該当する職種で代表的なものは次の通りです。
駅構内係
信号係( 鉄道)
操車係
鉄道車両編成作業員
連結手
甲板員、船舶機関員[088-03]
船舶に乗り組み、航海士の指揮監督のもとに、船舶のけい(繋)離(岸壁に離着岸すること)・見張、貨物の積み卸しの準備・監視、甲板機器の保守・整備、操だ(舵)(舵(かじ)を操作すること)、信号などの作業に従事するもの(甲板員)及び船舶機関士の指揮監督のもとに、舶用機関各部の点検・調整・注油、給水ポンプの点検・調整などの舶用機関を操作する作業に従事するもの(船舶機関員)をいいます。
ただし、漁船に乗り組み、漁労作業に従事する甲板部員[066-01 漁船甲板員]及び機関部員[066-01 漁船機関員]を除きます。
○ この項目に該当する職種で代表的なものは次の通りです。
甲板手
甲板部員
機関部員
自動車誘導員(フェリー)
操機員
操機手
操機長
× この項目に誤って分類されがちな職種は次の通りです。
漁船甲板員[ 066-01]
漁船機関員[066-01]
船舶機関士(漁労船を除く)[087-03]
なお、船舶に機関士として乗り組み、舶用機関の運転・整備などの仕事に従事するものは、[087-03 船舶機関士(漁労船を除く)]に分類します。
フォークリフト運転作業員[088-04]
港湾・工場・倉庫などにおいて、フォークリフトを運転して、資材・荷物などの運搬・積み卸しの作業に従事するものをいいます。
○ この項目に該当する職種で代表的なものは次の通りです。
フォークリフト運転手
× この項目に誤って分類されがちな職種は次の通りです。
港湾荷役作業員[095-01]
運搬作業員[095-02]
工場内運搬作業員[ 095-02]
市場内運搬作業員[095-02]
倉庫作業員[095-03]
なお、以下のものは、それぞれの分類項目に分類します。
(1)主に身体を使って資材・荷物などの運搬・積み卸しの作業に従事するもの[作業に従事する場所に即して分類する:095-01 港湾荷役作業員、095-02 運搬作業員、095-03 倉庫作業員]
(2)工場・卸売市場において構内運搬車を運転して資材・荷物などを運搬する作業に従事するもの[095-02 工場内運搬作業員、095-02 市場内運搬作業員]
他に分類されない輸送の職業[088-99]
遊漁船・はしけ(艀)・通船などの小型船舶の操縦、船舶のけい(繋)留、航空機のターミナルへの誘導、バス(営業所)等の所定位置への誘導、その他 088-01~ 088-04 に含まれない輸送の作業をいいます。
○ この項目に該当する職種で代表的なものは次の通りです。
構内運搬車運転手
航空機給油作業員
航空機誘導員(マーシャラー)
小型船舶運転者
船舶繋留員
釣船船長
通船船頭
はしけ船長
遊漁船船頭
遊覧船操縦士(小型船舶)
ロープウェイ乗務員
渡船船頭
× この項目に誤って分類されがちな職種は次の通りです。
鉄道車両修理工[075-04]
なお、鉄道車両の修理の作業に従事するものは、[075-04 鉄道車両修理工]に分類します。
まとめ
転職・就職活動では、業種や業界、職種など、似た言葉が数多くありますが、どれも異なる意味を持っています。自分に合った仕事を見つけ、転職・就職活動を成功させるためには、それぞれの言葉の意味を正しく理解しておく必要があります。本記事を参考に、まずは職種の理解を深めておきましょう。
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