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なぜ女性のキャリア促進が必要か~先進企業の取り組み事例~

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日本では諸外国に比べて、男性の育児・家事参加が少なく、女性の育児・家事の負担が重いことが指摘されいてます。実際、第1子出産を機に離職する女性もいます。特に30代の労働力率が低くなる傾向にあり、仕事と子育てとの両立が大きな課題の1つとなっています。また、日本企業における女性の役員比率・管理職比率は諸外国と比べて低い状況です。

女性の活躍を推進するには仕事と家庭の両立を支援し、女性従業員のキャリア促進を図るうえでは、女性従業員の「就業継続意欲」と「昇進意欲」の両方を明確に意識して、施策を検討・実施することが重要です。このページでは、日本において、女性のキャリア促進を推進する企業の取り組み状況をご紹介しますので、是非お役立てください。

女性のキャリア登用促進策~「就業継続意欲」と「昇進意欲」~

企業が、女性従業員のキャリア促進を図る上では、女性従業員の「就業継続意欲」と「昇進意欲」の両方を明確に意識して、施策を検討・実施することが重要です。

先行研究においては、仕事と家庭の両立支援策の充実や、労働時間の適正化、休暇の取得促進などのワーク・ライフ・バランスの推進によって、「就業継続意欲」の向上が促され、離職率の低下をもたらすことが明らかになっています。女性が継続して働き続けることができる職場環境が整備されない限り、女性のキャリア登用は難しいことから、企業はまずもって「就業継続意欲」の向上を図ることが重要だと考えられます。
しかしながら、「就業継続意欲」の向上と、「昇進意欲」の向上は必ずしも同一のものではないようです。例えば、育児と仕事の両立支援と「昇進意欲」は無関係であるという研究結果や、法定を上回る手厚すぎる育児休業制度が昇進を阻害してしまう可能性を指摘する研究成果も報告されています。

女性の「昇進意欲」を高めるためには、仕事を通じてキャリアの積み重ねや自分の「強み」の形成が実感できるようにすることや、企業が発信するストーリーに共感し、仕事の楽しみを発見し、仕事を通じて自分が社会の役に立っているという自己肯定感を得られるようにすることが重要であるという考えもあります。さらに、上司の態度の重要視されており、上司からの建設的なフィードッパクや、働く時間の長さではなく仕事ぶりを評価してくれる上司の存在などが重要であるという研究報告が行われています。

企業が女性活躍推進に取り組む意義

女性の活躍推進は企業経営にプラスの効果をもたらす
企業が女性活躍を推進することは、労働力を補うだけでなく企業経営にプラスの効果をもたらすことが示されています。海外での先行研究では、女性の取締役比率を高めると、取締役の能力・スキル・経験の多様化から、取締役会の監督機能・業務執行機能が向上し、企業価値指標 やROEなどの収益性指標が高まるといった分析結果が出ています。さらに、積極的に女性の登用を推進することは、優秀な人財の発掘や、女性ならではの視点を活用した新しい製品・サービスの創出につながり、長期的に、企業としての業績や競争力などに結びつくという効果が期待されます。
また、日本の上場企業を対象にして行われた調査について、経年変化を見ると、女性活躍推進が「採用活動」や「従業員のモチベーション、離職防止」に影響しているとの回答割合が高くなっており、人材確保策としての認識が強まっています。
グローバルな競争環境を生き抜くしなやかな強さをもつうえで、女性の活躍推進が鍵になります。

出典:平成24年5月22日付け女性の活躍による経済活性化を推進する関係閣僚会議 経済産業省大臣配布資料(一部修正)

これらを踏まえ、女性のキャリア促進についての先進的な取り組みをしている事例を見ていきましょう。

女性のキャリア促進① 女性のキャリア促進に向けた目標の設定

政府の取り組みとしては、男女共同参画社会基本法に基づき、施策の総合的かつ計画的推進を図るため、令和12年度末までの「基本認識」並びに令和7年度末までを見通した「施策の基本的方向」及び「具体的な取組」を定めています。令和5年12月26日に、企業における女性登用の加速化及びテレワークに係る成果目標の設定が閣議決定されました。

引用:第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~(令和5年12月26日一部変更閣議決定) | 内閣府男女共同参画局 (gender.go.jp)

また、2021年6月11日よりコーポレートガバナンスコードが改訂をされており、そのなかでは、企業の中核人材における多様性の確保として、「管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者の登用)についての考え方と測定可能な自主目標の設定」「多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針をその実施状況とあわせて公表」することとされています。

参考となる事例

損保ジャパンでは、女性管理職比率の目標を20 15年度末10%以上に設定し、12.3%と目標を達成しました。女性管理職比率の目標を2023年度末30% 以上に設定し、今後も女性社員を育成し、登用していくことを明確にしています。

参考:女性のキャリアアップ支援|損保ジャパン 新卒採用サイト (sompo-japan-saiyo.com)

ポイント
意欲的な目標を設定し、10約年間に女性管理職比率を約10倍まで上昇させています。

女性のキャリア促進② 女性従業員向けのキャリア研修等

参考となる事例
滋賀銀行は、将来の幹部候補層となる女性職員のキリャア形成やリーダーシップ向上を目指す他の地方銀行と横断型メンタリング制度である「TSUBASAクロスメンター制」を共同で整備しています。役員がメンターに、女性管理職がメンティとなりTSUBASA アライアンスのネットワークを生かした他行同土の組み合わせによるメンリタングを実施しています。

参考:「TSUBASAクロスメンター制度」の創設について | ニュースリリース | 滋賀銀行 (shigagin.com)

ポイント
同業他社と連携することで、地方銀行として、女性の幹部育成に取り組む事例といえます。

女性のキャリア促進③ 女性従業員向けのメンター制度、経営幹部との交流機会

「【3回目状況調査】男女正社員対象ダイパーシティ&インクルージョン推進状況調査(2022年)」(21世紀職業財団)によると、女性について、上司からの今後のキャリアについてのアドバイスを受けているかについての回答別に仕事への意欲を見ると、「そう思う」(アドバイスを受けている)場合、仕事に意欲的に「取組めている」「どちらかと言えば取組めている」と回答した人の割合が79.7%であるが、「そう思わない」場合、31.1%と低くなっています 。

引用:【3回目 状況調査】男女正社員対象 ダイバーシティ&インクルージョン推進状況調査(2022) | 公益財団法人 21世紀職業財団 (jiwe.or.jp)

参考となる事例
住友ゴム工業では、多様性を尊重する風土醸成、意識浸透のため「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)研修」を展開しています。2020年10月に管理職向け、2021年1 0月に一般層に研修を実施、今後も層を広げ継続していく姿勢を示しています。

参考:女性社員の働き方|WORKPLACE|住友ゴム 採用情報 (srigroup.co.jp)

ポイント
女性活躍をはじめダ、イパーシティを推進するための組織土風づくりとし て、アンコンシャスバイアス研修を行っている事例といえます。

女性のキャリア促進④ 役員や管理職向けの女性登用に関する研修等

女性のキャリア登用を推進していくためには 、経営層や直接の上司となる管理職が女性のキャリア促進の重要性を広く認識することも必要と考えられますが 、女性の健康課題についてもテーマとして検討していくことも重要となってきます。「健康経営における女性の健康の取り組みについて」(平成31年3月 経済産業省 ヘルスケア産業課)によれば、女性特有の健康課題などの事情を持つ女性部下への対応が必要となった際に、職場で必要と感じたもの、あれば助かったと思われるものはどんなものがありますか、という設問に対して、「産業医や婦人科医、カウンセラー、アドバイザーなど専家門への相談窓口が約半数を超えています。管理職においては、産業医・カウンセラ一等の相談窓口の設置希望が多く、管理職もどのような応対をすればいいのかわからず困っており、外専部門家のサポートを求めていることが想像されます。

出典:「健康経営における女性の健康の取り組みについて」(平成31年3月 経済産業省 ヘルスケア産業課)

参考となる事例
富士通ゼネラルでは、女性特有の健康問題を学ぶ場として外部講師を招き「女性の健康と100年人生の働き方」(2時間)と題するセミナーを実施。男性従業員の参加も促し、社長や役員を含む約100名が参加しました。相互理解を深め、女性の働き方について全従業員で、広く考えるきっかけにつなげています。

参考:富士通ゼネラルグループ 健康白書 – 富士通ゼネラル JP (fujitsu-general.com)

ポイント
社長や役員にも参加を促し、会全社体として、女性の健康問題に対する理解を深める機会となっています。

女性のキャリア促進⑤ 管理職(部長職以上)への女性の登用

政府では、2025年までに民間企業の課長相当職に占める女性の割合を18%以上とするなどの目標を掲げています。厚生労働省の調査によれば、従業員数1,000名以上の企業において、女性部長職比率(課長級及び部長級の比率)の平均は、全業種平均で8.4%となります。

出典:厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」

参考となる事例
大日本印刷では、上位管理職への女性登用を促進する「スポンサーシッププログラム」を2021年7月に開始しています。課長級および部長級の管理職である女性社員に対し、他部門の執行役員や副事業部長の職役者がスポンサーとなり、受講者が所属する部門長(オーナー)と連携し三者で取り組むことで、上位職位に求められる能力を備えた人材に育成するとともに、対象者の上位職位登用に向けた能力開発をしていくプログラムとなっています。

参考:意思決定の場への女性登用を促進し上位職位の多様性を高める 「スポンサーシッププログラム」を開始 | ニュース | DNP 大日本印刷

ポイント
他部門の上席者がスポンサーとなり、支援を行う点が特徴的です。

参考:「2024 J-Winダイバーシティ・アワード」で大賞を受賞 | ニュース | DNP 大日本印刷

まとめ

この記事では、日本における女性のキャリア促進に向けた企業の取り組みを紹介しました。日本の労働環境において、男性の家事・育児参加が少なく、女性の仕事と家庭の両立の課題があること、そして女性の役員比率や管理職比率が低いという現状が指摘されています。女性のキャリア促進を図るためには、「就業継続意欲」と「昇進意欲」を支える施策が重要であり、それらを高めることで、個人としてワーク・ライフ・バランスの推進、自己肯定感の上、ひいてはキャリア促進につながっていくことになります。
ディスコ・キャリタスリサーチの調査では、企業側からもっと発信してほしい情報として、男女ともに最も多いのは「業残や休日出動の実態」、次に「多様な働き方の制度(在宅勤務、フレックスタイム制など)」「転勤の実態」と続きます。実際に寄せられた声からも、学生からは聞きづらい勤務実態や年収、具体的な働き方の事例など、現実に則した情報を欲していることが挙げられます。

出典:ディスコ・キャリタスリサーチ「卒業直前に聞いた「キャリアプラン・ライフプランに関する調査」」

「さんかくねっと」では、これら女性のキャリア促進を推進する企業をご紹介します。「さんかくねっと」では、女性の活躍推進、性別を問わず仕事と家庭の両立支援に取り組む企業を応援します。

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